338 実録と教訓・葬祭場へ移動

葬儀社が来てくれ、病院の人の案内で奥まった場所に通された。霊安室ってヤツだろう。

横たわった父にはタオルなどが掛けられていて、直接には姿が見えない。
病院の人と葬儀社の人が手慣れた様子で車に載せた。

伯母2人と一緒に、父と同じ車に乗り込む。
葬儀社の人からどこに向かうか訊かれ、葬儀社の葬祭場に向かってもらった。

行って判ったが、葬祭場は高校の頃まで住んでいた家の近くだった。
これも縁というものか。

伯母たちと一緒に葬祭場の相談室に通される。
しばらくして、担当の相談員が来た。名刺に葬祭コーディネーターとあるM氏だ。

M氏からパンフレットを渡され、今後の意向を訊かれる。
「父も地味で堅実で派手を好まない人だったんで、そんな感じでまあできるだけ質素に…」
「ではリーズナブルな方向でご案内しましょう」

無理を通さず、こちらの意向を酌んでくれるらしき営業さんで安心した。


教訓。

  • 軽食するなら相談前に

葬祭の相談が始まるとかなり長くかかる。今回も3〜4時間はかかった印象。
できれば病院待機中に軽くでも食べておいたほうがいい。
ただし、緊張していたせいかそれほど空腹感はなかった。
実際、相談後になってやっと起きてから何も食べてないことに気づいたほど。

337 実録と教訓・方向性を決める

病院まで警察の車で送ってもらう中で説明があった。
「病院で『ケンアンショ』って書類をくれますから、あとで警察まで届けて下さい。コピーとってお渡ししますから。」

病院に着き、指示のあった荷物をひとそろい病院の方にお渡しする。
今回の費用は後日請求書を送るから、窓口か振込などで支払って下さいとのことだった。

伯母2人と今後のことをなんとなく話した。
「家じゃ場所もないでしょ。そのまま葬儀場に行ってもらったほうがいいに」
「今どき葬式とかお墓にあんまりお金かけるもんじゃないから。永代供養でも散骨でもいいと思うに」
伯母たちにこう言ってもらえて、かなり気持ちが楽になった。


今回の教訓。

  • 方向性を決めておこう

葬儀社が迎えにくる前に葬儀に向けての大まかな方針は決めておこう。
手間をかけずにやりたいのか、盛大に送りたいのか、費用はかけずにやりたいのか、程々の費用をかけたいのか、などなど。
もし普段お世話になってる宗教関係があれば、そこに関わってもらうのかも決めておこう(うちはなかった)。
こういった際、年長の親戚の了解があると事務的にも精神的にも非常にやりやすい。

  • 事情がなければ葬儀場直行がオススメ

「どうしても家で送りたい!しかもうちは広いよ!人手もかけられるよ!」なんて方もいるでしょう。
それ以外の方は葬儀場へ直行をオススメします。
現代の住宅事情からいっても安置場所や出入りが大変です。
遺族は色々と準備もあるので故人についていられません。
家にいろんな人が出入りすれば気遣いも増えます。落ち着き場所がありません。
そんなわけで、特段の事情がない限り病院から葬儀場に直行することを強くお勧めします。

336 実録と教訓・警察官と自宅へ

そうこうしてるうちに伯母2人が病院に来てくれた。

状況をざっと説明し、3人で長椅子に座っていると警察の人数名がやってきた。
父が倒れた家の中の確認に立ち会ってほしいとのことだ。

伯母2人に病院に残ってもらい、警察の車に乗せてもらって家に向かう。
パトカーではなく、外観は白い普通の乗用車。運転席前にカーナビのゴツい版みたいなのが付いてた。

家に着くと父が倒れた場所を訊かれ、この辺ですと伝えると「どんな感じで倒れてました?」と言う。いかにもベテラン鑑識?という感じの警察官だ。
「椅子に座ったまま横倒しになったような感じで……」
「横倒しになってみて」と若手警察官に指示するベテラン氏。若手氏が実際に床に寝て再現する。
「こんな感じ?」
「上半身は上を向いてて…」と応えると
「上半身上向いて」と再度指示出しするベテラン氏。

そこで友人も口添えしてくれる。実際父のそばで救命活動をしてくれてるし、冷静に見ていたようだ。
「腕は胸のあたりで、でも肘は上がらない感じでした」
「はい、肘は上がらない感じで」ベテラン氏の演技指導が入る。
そんな感じでしたと言うと、警察官は迫真の演技をする若手氏を写真に収めた。

警察官って大変だなぁ(・∀・;)。

貴重品は?財布はそれ?と訊かれ、財布を指差してと言われそのようにするとその父の財布を写真に撮る。
父の財布のお金を全部出してきれいに並べ、それも写真に撮っていた。

「ご近所にちょっとお話を訊くこともありますので、あとで会われたときにお話あるかもしれませんが」とも言う。
それって聞き込みってヤツ!?

警察官に応対しつつ病院に持って行く荷物を紙袋にまとめる。警察の調べの終わった父の財布も一緒に持った。

警察の車に再度乗せてもらい、病院へ戻った。


今回の教訓。

  • 警察官は思いがけないことも聞いてくる。

父の倒れた姿にあそこまで演技指導が入るとは思わなかった。
倒れたときは気が動転してるからなかなか覚えてはいられない。今回は冷静な観察眼のある友人のおかげで助かった。
「訊かれることもある」と知識に残しておくくらいしかできないかも。あとメモをとっておくとか?

335 実録と教訓・葬儀社に連絡

病院から父のしたくが整う時間を連絡された。

搬送?は葬儀社にお願いするのが一般的とのこと。
どうしたものかと思いながら自宅待機中の友人に連絡すると、「あいネットに連絡してってお母さん言ってる」とのこと。
そういえば母は冠婚葬祭業「あいネット」の積立会員だったっけ。

あいネットの24時間受付番号に電話する。会員番号とかは判らないけど、母の氏名と自宅の電話番号で会員確認してくれた。
病院名と連れ出し可能時間を伝えると、自宅に向かうかあいネットの葬祭施設に向かうか訊かれる。
ちょっと考えていると、運転手に伝えればOKとのことだった。

今回の教訓。

  • テレホンカードを持とう

緊急事態だから何かにつけて電話をするけれど、病院内では原則的に携帯電話は使えない。メールなどで使うときは玄関前まで出たのでけっこう大変。
病院内には緑の公衆電話がある。財布の中にテレホンカードを入れていたのが今回とても役立った。

  • 家族に葬儀社の互助会員はいませんか?

病院搬出?後の諸々はほぼ葬儀社任せになる。不慣れな身にはありがたいと同時に、積み重なれば費用もばかにならない。
我が家は母が付き合いであいネット会員になっていたので、費用面ではかなり助かることになった。
会社にもよるだろうけど、家族が1人会員になっていれば他の家族の時でも会員割引を使える。
家族が葬儀社の互助会員などになっているかはぜひ把握しておくべき。

334 実録と教訓・寝間着ですか?

警察官にひと通り説明を終えると、病院の人から必要なモノのリストを渡され、父を連れて帰れる時間を説明された。

必要なモノリストには

 寝間着・パジャマ
 バスタオル(今回は掛ける分と敷く分で2枚)
 フェイスタオル2枚
 紙おむつ

などとあった。
基本的には入院に必要なモノリストということらしい。今回の場合は父の身支度に使われるわけだ。

父はいつもスウェットパンツにTシャツとかで寝てた。
パジャマだの寝間着だのなんて持ってるかぁ?見たことないよ!

病院の地下に自販機があるってんで行ってみた。
なるほど、ゆかた式寝間着の男女M・Lサイズや紙おむつなどなど売っていた。入院グッズはとりあえずこれで揃うらしい。

自販機はスーパー銭湯の牛乳自販機のような仕組みだ。

寝間着は一応柄を選べる。2000円ほど入れてボタンを押すと、小さなゴンドラみたいなのが選んだ商品まで動いて落とし口まで運んでくれた。
寝間着はビニールで小さく四角くくるまれ、中には領収書が入ってる。

寝間着以外のものは警察さんと家にいったん戻る時に取ってくることにした。

今回の教訓。
普段Tシャツなどで寝ている人は多い。自分にしても夏場はそうだ。
だが病院では脱ぎ着しやすい(させやすい)ように前開きのがいいってことは母の入院の時聞かされていた。

1枚くらいは前開きのパジャマや寝間着を持っていたほうがよいのかもしれない。
その時、バスタオルやフェイスタオル2枚、下着数枚と一緒にわかりやすい所にしまっておけばとっさの時の入院セットになる。

さすがに大人用の紙おむつがある家は限られるだろうけど(苦笑)。

333 実録と教訓・警察官来る

泣くわけでもなく、さてどうしたらいいのか?と思っていると病院の人が「警察の人が話を訊きに来るからしばらく待ってて」という。

警察ですと!?

病院にしばらくかかっていて病院で亡くなれば「病気で」となんの問題もなく病院だけで処理される。
病院にかかっていたわけでなく、突然倒れて…という場合は事件性のありなしを確認するため、必ず警察が調べるのだそうだ。

家や親戚に連絡したり、長椅子でボーッと座っていたりしていると制服姿の警察官が来た。ちょっと梅宮辰夫に似てる。
倒れたときの状況や、ここしばらくの父の体調・病歴・職歴などを訊かれた。聞き方が冷たくも情緒的過ぎもせず、適度に事務的な感じで答えやすい。
クリップボードに挟んだA4くらいの白紙に、ジェットストリームの黒(事態が事態でも文具とかには何故か目がいく(笑))でぐいぐい書き、話の区切りごとに横線をビーッと引いていた。

「このあと家の様子も見させてもらうので同行してください」とのこと。
……コレって「現場検証」ってやつ( ゚∀゚)?

父親の職歴や病歴など、これまでさほど気にしたこともなかった。
入院したのは覚えていても、それが何年何月頃で具体的に何の病気だったかなんてのは知りもしなかったし。
警察官に訊かれてもややうろ覚え気味に答えざるを得なかった。

普段から会話のある家庭でお互いのことを把握してる場合は問題ないだろう。
どちらかと言えば相互無干渉な家庭の場合、個人ごとに簡単な病歴や職歴をメモしておいたほうがよいのかもしれない。

332 実録と教訓・判断する

救急車で病院に入り、父は救急処置室へ。

その間受付に保険証などを出してから、父方の伯母に電話し、経緯と病院名を伝えた。
自宅で母に付いてくれている友人にも連絡し、病院名を伝えた。母はまずまずなようで安心。

しばらく待つと医師に呼ばれた。現状と処置について説明と確認をされる。
若い医師だったけれど、できるだけ私のこちらの精神的負担にならないように説明してくれているのがよくわかったしありがたかった。
こちらの意思を伝えると医師は処置室へ戻る。

さらに待つと医師に呼ばれて処置室へ。
説明を受け、父の臨終を告げられた。

今回助かったのは、

  • 携帯電話に伯母の電話番号を登録していたこと。

県内とはいえ離れたところ在住で移動にそれなりの時間がかかる。すぐに連絡が取れこちらに向かってもらえたのは、その後のことを思うと正解だった。

  • 医師の精神的ケア。

状況をハッキリ伝えてくれ、こういう選択をしたらこうなるという説明もしてくれた。選択者が負担に思う必要はないとも言ってくれた。
これは本当にありがたかった。
漠然とは考えていたものの、実際選択するときはやはり短時間に色々と頭をよぎる。
普段から「自分が緊急時はこうしてほしい」という意思をわかるようにしてあれば、判断する側の精神的負担が減ると思った。