302 余は如何にして安藤美姫ファンとなりし乎・中

トリノ五輪女子シングルフリースケーティング

日本選手で最初に滑ったのは安藤。

例の衣装はさすがにちょっと(苦笑)と思った。今になって思うのだけど、それ以前ともそれ以降とも、あのトリノ五輪ワダエミ衣装だけがテイストが違う。安藤自身のセンスとも、ショー用衣装デザインをすることもある安藤の母のセンスとも違う。
いったいどんな経緯であの衣装を着ることになったのかはいまだに謎だし疑問でもある。

4回転サルコウを転倒。その後の演技も精彩を欠く。途中「ああコイツ試合を投げたな」と思うほど冴えない顔をしていた。(たぶん緊張感もあって、本人もどうしたらいいのか判らないほど体が思うように動かなかったんだろう)。
解説の佐藤有香さんのコメントは厳しかった。ちょっとキツ過ぎないかと思った。
今になってみると有香さんのコメントは的確だった。「ちゃんとやれればもっとできるのが安藤選手」と認めてのコメントだったと思う。このトリノのことがあったので、2010年のジャパン・オープンとカーニバル・オン・アイスで有香さんが安藤の演技に絶賛のコメントをしたときには嬉しかった。

安藤の演技が終わったのでしばらく寝て、次に起きたのは荒川の前。

安藤の時は寝たまま見てた。
荒川が演技開始位置についたとき、もの凄くきれいで思わず起き上がって座り直して見た。
とにかく素人目にミスのない演技。解説がなければ、3回転予定の連続ジャンプの2つ目が2回転になったことも判らなかった。

あとになって見ると、ドーナツスピン3回とかけっこう点取りにあざといプログラムだなー(苦笑)と思う。さすがはニコライ・モロゾフコーチ兼振付師。策士である。

とにかくきれいに華やかに、決めるべき時にキメた演技だった。あれだけのものはそう見られるものではないだろう。荒川ファンになった瞬間だ。

この時同じ最終グループで滑ったのがゲデバニシビリグルジア)。若いがジャンプをしっかり決めていた。「ああミキティもこれくらいできてたら…」と思ったものだ。
この時の可憐な少女がグルジア・ロシア間の争いに翻弄されて練習場所を転々とすることになるとも、あんなダイナマイトバディwになるともまったく思わなかった。

スルツカヤのFS。3回転ループで転倒した。「普段のスルツカヤなら絶対にミスするようなジャンプではないのに」といった有香さんのコメントが印象に残っている。

結果。荒川が金メダル。日本初・アジア初の五輪フィギュアスケート女子シングル金メダリストになった。

控え室らしきところで荒川チームが喜んでいたが、本人は泣いたりもせず案外恬淡としていた。
そこに安藤がやってきて、祝福して抱き合った。荒川も安藤の頬に手をやってねぎらう。非常に美しい、素敵な光景だった。

安藤いい娘だなぁ……と感動すると同時に、転倒した4回転サルコウのスロー映像を思い出した。素人目にはあとちょっとで着地できたんじゃないかと見えた。
で、思った。「お前このままで終わっていいのかよ!悔しくないのかよ!頑張ろうよ!」
安藤サポーターになった瞬間である。
この時だと「ファン」とはちょっと違うかな。「この娘は自分が応援しなくちゃいけないんだ(`・ω・´)!」と心に誓った瞬間だ。

「下」に続く!